「君、デザインはアートじゃないんだよ。」
27年前、そう言われた瞬間からこの研究は開始した。

Design isn't Art?

その一言は、長いあいだ棘のように残り続けた。
デザインとは何か。アートとは何か。
その二つは、どこで交わり、どこで分かれるのか。あの日わからなかった問いに、いつしか20年以上、向き合い続けてきた。
この研究所は、その問いから生まれた場所である。

クリエイティブデザインを、ただ愚直に研究する

この研究所は、その名のとおり、クリエイティブデザインを研究するための場所である。
新しい技術を教える機関でもなければ、制作を請け負う会社でもない。
ここでやっていることは、もっと素朴で、もっと執拗だ。

つくるとは、本来どういう営みなのか。
それは、誰の何のためにあるのか。

あの日投げかけられた問いを起点に、日々の実践の中でただ愚直に問い続け、そこで得た気づきを、一つひとつ言葉にして表現していく。それが、この研究所のいまの活動のすべてである。

この研究が、向き合っている問い

いまの社会では、つくることが、しばしば「消費」の一部になってしまう。
売るために形が整えられ、評価されるために体裁が飾られ、つくり手自身も、いつのまにか競争のなかですり減っていく。本当はもっと自由で、もっと手応えのある営みだったはずのものが、少しずつやせ細っていく。
この研究所が向き合っているのは、その状況に対する、ごくシンプルな問いだ。

つくることを、もう一度、健やかなものに戻せないか。

つくる人にとっても、それを受け取る人にとっても、納得のいくかたちに。
飾りや誤魔化しではなく、本当に意味のあるものが生まれ、正しく届いていくかたちに。
その道を探すための研究を、ここでは続けている。

2つの方向から触れていただきたい

この研究が届いてほしい相手は、二種類存在する。

ひとつは、つくることを仕事にしている人。
評価や数字に追われるうちに、最初にあったはずの手応えを見失いかけている——そんな感覚に覚えのある、つくり手のあなた。

もうひとつは、つくることを誰かに託す人。
自分たちの想いや価値を、本当に伝わるかたちで世に出したいと願っている、依頼する側のあなた。

つくる人と、託す人。その両方が、それぞれの立場から「つくるとは何か」をもう一度考え直せる。この研究所は、そのための言葉を発信していく場所でありたいと思っている。

研究から生まれた言葉たち

今この場所で差し出せるのは、研究から生まれた言葉しかない。

サイトの中に置かれた一つひとつのページは、日々の探求のなかで見つけた気づきを、そのつど書き留めたものである。うまくまとまった結論ではなく、いまも進み続けている研究の一片を、張り巡らされた迷路のように徘徊できるよう設計した。

読んで、何かが引っかかったなら。
その引っかかりが、あなた自身の「つくるとは何か」を考え直す、小さなきっかけになれば嬉しく思う。

やがてこの場所が育っていけば、ただ読むだけでなく、共に学び、関わり合える形へと広げていくつもりだ。その最初の一歩に、いま、あなたが立ち会っている。

27年前の、あの一言から生まれた究極の問いと、その研究の答えは、私だけに向けられた問いではない。
あの一言がもたらした問いの答えを、現代の経済社会に生きる我々は見つけられるだろうか。